WEB ディレクターもWEB エンジニアも同じだから喧嘩するんじゃないよ

久しぶりに仕事の近況でもログっておこうと思ったら、いきなり世界平和を訴えている感じのタイトルになってしまった。

 

私は主に、WEB ディレクターとかWEB エンジニアをやってきた人間なんだけど、 その二つの仕事が本質的に大差ないんじゃないかと最近になって気づいた。

だから仲良くしよう(と、ついでに言っておく)。

 

 目次

 

私はどんな人間か

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私がどのような経緯でWEB 制作の仕事に関わり続けてきたかを簡単にまとめると、

  • WEB デザイナー(1〜2年レベル)
  • フロントエンド中心〜たまにバックエンドエンジニア(5〜6年レベル)
  • テクニカルディレクター / ディレクター(5〜6年レベル)

こんな感じの経験で、その間にフリーランスを3年ぐらい経験した後に、今はエンジニアのチームを作りながらプレイングマネージャーをやっている。

 

この通り、私の中身は「WEB ディレクション」と「WEB エンジニアリング」で構成されている。好きで落ち着くのはフロントエンドの諸々だけど、たまたま最近はバックエンド側の需要も多く、もうそこまでフロントエンドを専門としていない。

 

ディレクションとは何か

まず、ディレクションとは何だろうか。

それは私なりに一言で表現すると、

誰が・いつ・何をすれば目的が達成できるのかを整理し続けること

である。

 

この記事にも書いた通り、WEB ディレクターの仕事は多岐に渡るんだけど、その内容の多くは前述の「誰が・いつ・何をすれば目的が達成できるのかを整理し続けること」に繋がっていく。そのための要求定義・要件定義であり、そのためのWBSディレクトリマップだ。

このようにディレクターとは整理のプロであり、そのために必要なスキルとツールを学んだ結果、プロジェクトには必要不可欠な存在となる。

 

ディレクターが整理を行った結果、クライアントと制作メンバーの不安が少なくなる。

我々は何をすれば良いのか。改修の方針は間違っていないか。リリース時期に間に合うのか。そういった不安を、ディレクターは整理することによって解消していく。

人間というのは基本的に、すぐ不安になって騒ぎ出してしまう脆くてウサギちゃんのような動物なので、ディレクターが整理をしないと皆が不安になって死んじゃう。

 

それらを内心「お黙りなさい。」と思いながら「ほら、クリアになったでしょ。もう大丈夫だよ。」と優しく微笑みかけるのがプロのディレクションである。

 

エンジニアリングとは何か

では、エンジニアリングとは何だろうか。

それは私なりに一言で表現すると、

目的の達成を阻む課題を解消し、不確実性を減らしていくこと

である。

 

新人プログラマの時代から徐々に経験を積んできた人間が、まず他人から聞かれるようになることは「この機能って実装できるの?」「このアニメーションって実装できるの?」等々だ。

顧客の課題を解決するために、とある機能の実装が必要となった。(それは、ディレクターが整理をした結果、要件に入ってきた機能だったりする。)

しかし、それが実装できるかどうか、できるとしてもリリースまでに間に合うかどうか。その検証と見積りを立てるところから、エンジニアとしての人生がスタートした人は多いのではないだろうか。

 

エンジニアは身につけた技術やモックアップを作って検証を繰り返すことにより、「課題が解消できるか分からない」という不確実性を減らしていくことで皆を安心させることができる。

そのためにコンピュータの、OS の、様々なプログラミング言語やWWW の仕組みを勉強して応用し、どんどん「それはできます。」「それはできません。」「こういう風にすれば、できます。」「こんなことができますが、何かの役に立たないでしょうか。」ということが言えるようになってくる。

人間というのは基本的に、すぐ不安になって騒ぎ出してしまう脆くてウサギちゃんのような動物なので、エンジニアが不確実性を減らさないと皆が不安になって死んじゃう。

 

それらを内心「お黙りなさい。」と思いながら「ほら、実装できるでしょ。もう大丈夫だよ。」と優しく微笑みかけるのがプロのエンジニアリングである。

 

ディレクションもエンジニアリングも大差ない

なんか、読んでて同じようなことを言っているのに気づいただろうか。

語弊を恐れずに言えば、ディレクションもエンジニアリングも、不安な人間を安心させる仕事なのである。

その点において、私にとってはディレクションもエンジニアリングも大差ない仕事であり、それらが合体してしまったようにも見える。

 

純粋な気持ちでHTML を書き始め、ただそれが楽しかった頃の私は、まさか自分が不安な人間を安心させる仕事を10年後にやっているなんて思ってもみなかった。

しかしディレクションもエンジニアリングも、その本質を少し考えてみれば、ここで繋がってくるのは当然という気もする。

 

ちなみに、不安な人間が安心することが、何でそんなに必要なんだろうか。

不安な人間なんて不安なまま、放っておけばいいじゃないか。10年前の私なら、絶対にそのようなことを言ったと思う。

しかし、それは、めちゃくちゃ重要なことなのだ。

だって、人間が不安なままでは、予算が下りないから。

だから不安な人間を安心させなければ、そもそもビジネスが成立しないし給与は支払われない。

 

そして、私のところには不安な人間が毎日のようにやってくる。

私は時にディレクションで学んだ手法で、時にエンジニアリングで学んだ手法で、時に両方を用いて不安な人間を安心させる。

不安解消祭りだ。不安解消パックの安売りだ。大バーゲンである。

  

喧嘩するんじゃないよ

なんか時々、ディレクターとエンジニアは喧嘩をしている。ディレクターはどうとか、エンジニアはどうとか、何やかんや言っている。

私は「仲良くしないと殺す。」と思いながら不思議に思って見ているんだけど、どうも彼らの喧嘩は同族嫌悪か何かの類らしい。

 

そして、現在進行系でテンパっている不安な人間にとって、相談相手の役割など関係がない。相手がディレクターであろうとエンジニアであろうと、不安が解消できればOK。

不安な人間に必要なのはディレクターでもエンジニアでもなく、「もう大丈夫だよ。」と優しく微笑みかけてくれる相談相手なのだ。

 

なので私は日々、笑顔を絶やさず、問題を笑い飛ばし、ジョークのネタを仕入れる努力を怠らない。

筋肉を鍛え、寒くともタンクトップ一枚で過ごし、やむを得ない局面では圧倒的な筋力をもって局面を粉砕するパワーを維持しておく必要がある。

私は楽しく働きたいのだ。和気あいあいとしたアットホームなオフィスで働きたい。不安なんて何もないぞ。希望に満ちた未来しか、俺達には見えねえ。

 

だから喧嘩するんじゃないよ。

WEB ディレクターだってWEB エンジニアだって、オケラだってアメンボだって。みんなみんな生きているんだ友達なんだ。