楽しすぎる料理への入門、料理の何が楽しいのか
今までパスタ作りやスパイスカレー作りなどにハマってきたが、ここへきて、とうとう料理それ自体にハマってしまった気がする。
なので、毎日のように色んな料理を作ったり、色んな料理本を読んでいる。
料理の、何がそんなに楽しいのか?
入門したばかりの今、私が感じている料理の楽しさについて、ログに残しておきたい。
目次
料理の魅力
料理はすごい。五感の全てを使いこなし、途方もない高さの山を登るチャレンジだから、すごい。
視覚・嗅覚・聴覚・触覚・味覚の全てを総動員して、様々な素材を、様々な器具を使って仕上げていく。そのために学べることが、めちゃくちゃ多い。
食に興味がある人間の多さたるや、私が今までハマってきた多くの趣味の比ではない。
そして、作ったものは自分の血肉になっていく。
誰かに食べてもらうことで、誰かとコミュニケーションをとることができ、誰かの血肉になっていく。誰かに「美味しい」「不味い」と言ってもらえる。料理は、誰かからフィードバックを貰うのが、とても簡単だ。
目玉焼きが作れれば良い。何かに、ちょっと人の手を加えれば、それは立派な料理だ。
買ってきた惣菜を皿に盛り付けるだけでも、誰かが綺麗と言ってくれるかもしれない。それは、料理だ。
だから料理は楽しい。すごく簡単で、すごく難しいから、料理は楽しい。
味をつけよう
美味しい料理を作りたい。
器具の選び方、素材の切り方、加熱・加水の仕方…etc と、学べることは無限にあるけど初学者なので、やっぱり「味のつけ方」が、とても気になる。
味っていうのは「甘み」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」の、5種類のことだ。この5種類の、どれかを使って、美味しくしていく。(ちなみに「辛味」は味覚ではなく、痛覚らしい。)
甘くしたいなら、砂糖を。塩辛くしたいなら、塩を。酸っぱくしたいなら、酢を。
苦くしたいと思ったら、加熱する時に思いっきり焦がしてしまおう。
旨味は、肉や魚の中や、昆布やカツオの中…etc に沢山ある。
例えば、ゆで卵にマヨネーズをかける。
マヨネーズには、塩と酢が含まれている。なので塩味と酸味が、卵に加わる。だから味を感じる。
醤油に、味噌に、ケチャップに、どんな味覚のもとが含まれているかを知ると、とても料理が楽しくなる。理屈が少し、分かるからだ。
ドレッシングなんか、塩と酢と油を混ぜるだけで作れる。それを、ちぎったレタスにかけるだけで、やっぱり立派な料理だ。
今まで、よく分からない得体が知れないものだった、味をつけるための何かが、何だったのか分かってくる。それは、とても楽しい。
下ごしらえをしよう
例えば、玉ネギを切る時に、玉ネギの繊維に対して平行に切るか?垂直に切るか?
これだけで、玉ネギを口に含んだ時の感触が変わる。
素材を知り、どんな食感を得たいかをイメージして、ただ切り方を変えるだけで、とても立派な料理だ。
「生のままサラダに入れたいから、繊維に対して垂直に切り、繊維を壊すことで、食べやすくしたんだ」(その逆もある)とか何とか言えるのも楽しい。
くすんだ緑色のアスパラガスやエンドウも、下茹でした後に冷水にとると鮮やかな緑色になって、とても食欲を刺激する。それは誰かに、美味しそうだな、食べたいな、と思わせる力になる。
こんな風に、素材を活かす下ごしらえの方法が無限にある。一つ一つ箱を開けていく楽しさが、ずっと続くから、料理は楽しい。
加熱と加水をコントロールしよう
火を入れる、水を加える。この料理の基本が簡単なようで、本当に難しい。
強火・中火・弱火とレシピに書いてある、これには、ちゃんと意味がある。
素材に火を通して化学反応を起こし、素材に含まれる成分を引き出すために、火を操るのが料理である。
水分を失いすぎたものは、基本的に美味しくない。
人間の舌は、水分を通して味と呼ばれるものを感知するという。なので、料理が水分を失ってしまうと、味を感じ辛くなってしまう。
料理の工程の、どこで、どのように加水するか。水なのか、出汁なのか、トマトなのか…何を加えて加水するか。
水を操るのも料理である。
黒魔法や、錬金術みたいで楽しい。
何千年も前から、人間は肉に火を通して食べていたはずなのだ。何年も、ずっと同じことをしているんだけど、その方法はどんどんと洗練されてきた。
ちなみに、醤油や味噌を用いた料理が庶民にも浸透し、現代の日本料理の基礎が確立され始めたのは、戦国時代〜江戸時代あたりだという。思っていたより、最近なんだ。こういった歴史を知るのも楽しい。
カレーにハマった時に学んだが、一つ一つの料理には、複雑で色んな歴史がある。
ゴールとプロセスが大事だ
何も料理に限った話ではないんだけど。
料理は、どのような素材を、どのような状態で、誰が食べるか?…をイメージするところから始まる。
ゴールは例えば、料理をふるまう家族と楽しい時間が過ごせること。
そのためのプロセスは、誰かが苦手な食材を避けることだったり、高齢でも食べやすいよう柔らかく煮ることだったり、一つの大皿を囲めるように盛り付けることだったりする。
更に、そのために切り方を、焼き方を、味のつけ方を学び、組み立てていくのだ。
もちろん自己満足だっていい。
俺は今、厚い牛肉にかぶりつきたいんだ、という欲求を満たしにいく。
かぶりつくなら柔らかい肉がいい。サーロインとかランプとかを買ってくれば良いんだな、ということを学んだり。効率的に火を通すために肉を焼く前に室温に戻しておくという選択肢を覚えたり。
その欲求を満たすために、できることが山ほどあるから料理は楽しい。
もはやゴールは曖昧でも、無くたって。
包丁を操るというプロセス一つとっても、夢中になれる要素があるから楽しい。飾り切りを習得すれば、ヒーローになれるだろう。
綺麗な器を使いたいから、器を良く見せたいから、料理をする人もいる。
色んなところに楽しさがあるから、料理は楽しい。
料理と化学
色々な料理の本を読んでいると、すぐに料理と化学の関係に気がつく。
肉の旨味はアミノ酸。昆布の旨味はグルタミン酸。カツオの旨味はイノシン酸。
素材が持っている様々な物質?を、例えば加熱を用いて反応させて、引き出したり変化させたりするのが料理だ。
肉を焼いたら茶色になる、それには、ちゃんと化学的な理由がある。
これをこうしたら、こうなって、だから美味しさを感じるということは、化学で説明がつくらしい。
何十年も経験を重ねた職人の、熟達した技…という風に説明できるのも料理だ。
そうではなくて、全てこれこれこういう理屈があって、全く同じ状況さえ再現すれば誰にでもできるんですよ、というのも料理だろう。
肉体的な、指先の数ミリのコントロール。頭脳的な、とても大きな学問の応用。
どちらもあるから料理は楽しい。
簡単に延々と楽しい
料理はキッチンと最低限の器具があれば、毎日できる。
ご飯を食べないと人間は死んでしまうし、食材を溜めて捨てるのは勿体ないので、毎日のように続けやすい。(動機になる要素が多い。)
簡単に毎日が楽しくなるから、料理は楽しい。簡単に自分を、誰かを、喜ばせることができる。
たまに飽きてしばらくやらなくても、またすぐ再開することができる。
料理はいつも、とても近くにある。
だから料理は楽しい。(…延々と続く)