Decade というフォーマットで10年間を「ふり返り」してみたら想像以上に有意義だった

ビジネスにおける「ふり返り」の重要性は言うまでもないけれど、その手法にも色々とあって、その中でも最近になって知ったDecade と呼ばれるフォーマット(?)が凄く良かったので、書いていきたい。

 

Decade とは簡単にまとめると、

  • この10年間の「自分史」をまとめるイメージでスライドを作る
  • スライドに10年の間、自分が何がやってきたかを書いていく
  • スライドに10年の間、自分が何を考えてきたかを書いていく
  • すると何か分からんけど実績やスキルや信条などが簡潔にまとまる

というようなものだ(そう理解している)。

この「10年間」という期間の設定がポイントだ。2~3年とかではなく、10年間である。

 

目次

 

Decade の例

百聞は一見に如かず、ということで公開されているDecade の例を貼っておく。

www.slideshare.net

 

これが、広く知られた手法なのか何なのか私にはよく分からない。

また、これが「ふり返り」のフォーマットであるかどうかも分からない。あくまで私がそう解釈・活用しているという話だ。

 

私がDecade を知ったのは、仕事で繋がっているパートナーさんにオススメされたからである。

その方が言うには、前述のDecade の例を作った河野武さんがオススメされている手法とのこと。

他に、このような記事を書かれている方もいらっしゃる。

僕の「Decade」作り〜その1 Decadeってなにさ〜:一人シリコンバレー男:オルタナティブ・ブログ

 

この辺で、おおよそ何をやるかは理解できただろうか。

ここからは、私なりに解釈したDecade の作り方・作ってみて得られる効果などについて連々と書いていきたい。

 

何のためにDecade を作るのか

前述のDecade の例を見れば殆ど理解できると思うんだけど、Decade は、

  1. 自分自身をプレゼンテーションするため
  2. 自分の10年間をふり返って整理し、次の行き先を検討するため

に役に立つと言うことができそうだ。

 

そして、ここでの重要な本質は、これまた言うまでもなくドキュメンテーションである。

文章に起こして整理することで、自分も他人も理解しやすくなる。更に推敲の過程で、いわゆる「KEEP」や「PROBLEM」も見つかっていく。

 

そもそも10年間、自分が何をやってきたかを文章に起こして整理する機会なんて、そうそうあるだろうか?しかも、それを他人に見せるために整理するのだ。

1年〜3年ぐらいのスパンであれば機会としては、まあまああるかもしれない。しかし10年となると、なかなか無いのではないか。

ちなみに私は、ちょうど社会人経験が10年〜ぐらいの年齢なので、このタイミングでDecade を知り、それを作れたことが本当に良かった。

 

Decade を作ると、

  • どうして自分が「ここにいるのか」が明確になる
  • これから「どこに行くべきか」の判断材料になる
  • 自分が何を大切にしてきたかが明確になる
  • 忘れかけていた実績を思い出し、まとめることができる
  • 他人が自分を深く理解するきっかけになる

などの効果を得られると思う。

これらは10年間という長いスパンでふり返るからこそ、より強く得られる効果であり、それこそがDecade を選択するモチベーションになり得るのではないか、と実感している。

 

どうやってDecade を作るのか

残念ながらDecade については体系としてまとまっている情報を見つけることができず、そもそも確立された手法というわけでは無いのかもしれない。

しかし逆に言うと、べつに決まったフォーマットなんてなくても、他の方のDecade を参考にしつつ我流でやってみた私ですら大きな効果を実感してしまい記事を書いてしまう感じなので、それはそれでええやんという気もする。

 

そこで参考までに私が作ったDecade の目次・見出しを下記に書いておく。

この目次・見出しに従ってスライドを作るも良し、自分なりに足したい要素・削りたい要素などを反映していくも良し、ということで。

 

Decade(nico0927 版)の目次・見出し

  1. 略歴(自己紹介)
  2. 10年間のサマリー
  3. 2009〜2010年:下積みをしていた期間
    • この時に考えていたこと
    • この時にやったこと(実績)
  4. 2010〜2012年:様々な制作・開発に触れた期間
    • この時に考えていたこと
    • この時にやったこと(実績)
  5. 2012〜2015年:フリーランスだった期間
    • この時に考えていたこと
    • この時にやったこと(実績)
  6. 2015〜2019年:ビジネスやマネジメントの勉強中
    • この時に考えていたこと
    • この時にやったこと(実績)
  7. この10年で身につけたスキルリスト
  8. この10年で心に残っている他人の言葉
  9. この10年の趣味やプライベート
  10. 信条

こんな感じで、私の場合は10年間を4つのフェーズに区切って整理し、各々の中で何を考えていたか、どんな実績を残したかを箇条書きで整理していった。

冒頭で紹介した河野武さんのDecade は80 スライド以上あるけれど、私の場合は15スライド程度に収まっていて、比較的より簡潔にサマったものとなっている。

 

このような区切り方・サマり方にルールなんてものは無いが、かと言ってサマり過ぎも良くないように感じる。

前述の通り「10年間という長いスパンでふり返ること」が重要だと思うので、基本的には1年ずつスライドがあった方が良い気がするし、私はフェーズでまとめてはいるものの、各スライドにはそこそこの量の情報を詰め込んでいる。

 

ちなみに私がDecade を作るのにかけた時間は4時間〜前後だ。

スライドどうこうよりも過去の自分の情報を思い出して引っ張り出し、整理するところに時間がかかっている。

 

どのようにDecade を活用するのか

「何のためにDecade を作るのか」と被るけれど、

  1. ポートフォリオとして自己紹介や転職活動などに利用する

  2. 成功したことや失敗したことをピックアップして深掘りする

  3. 次にどんなポジションやスタンスで働きたいか検討するための材料にする

  4. チームメンバーにも作らせてみてコミュニケーションの材料にする

などの活用が考えられる。

 

ここまで書いてみて改めて気づいたけれど、やはりこれは「ふり返り」の手法というより、それ以上に広範囲な可能性を持っているフォーマットだと思う。

Decade という単語を初めて聞いた時は正直、仮面ライダーしか想像できなかった。

それがまさか、ここまで自分にとって多くの発見に繋がるとは思ってもみなかった。

 

ぜひ皆さんも、軽い気持ちでやってみてはいかがでしょうか。やり始めると色んな意味で割と重いんだけど、私の場合は、やっぱり推敲する楽しさが勝ってしまったな。

 

最後に、私のDecade も例として公開しておきたいという気持ちもあるにはある。

しかし私の場合はデザイナー ⇒ エンジニア ⇒ ディレクター ⇒ エンジニアリングマネージャーというキャリアの中で、公開できない受託制作・開発の実績が半分ほどあり、それらをDecade に書いているので、公開用に書き直すのは面倒くさい。

ということで申し訳ないけど、公開は控える。

 

このDecade というものを私に教えてくれた、仕事で繋がっているパートナーさん、そして、そのソースとなっており自身のDecade を公開されている河野武さん、ありがとうございました。