アニメ感想:ダーリン・イン・ザ・フランキス ー セックスできるなら相手は誰でもいい二人の物語

そばに来て 崩れゆく抑制 僕を怖がらないで

ダーリン・イン・ザ・フランキス主題歌「KISS OF DEATH」(中島美嘉)より

 

まずHYDE 作詞作曲・中島美嘉が歌う、このOP が絵も含めて素晴らしい。上記の引用は最初の歌い出しで耳に入ってくる一節だけど、この一節だけで本作品のテーマをよく表現していると感じる。

新世紀エヴァンゲリオン」劇場版の主題歌を宇多田ヒカルが手がけるなら、こっちはHYDE中島美嘉で応戦だ。確かに効果は抜群で、壮大なスケール感を表現するために良い選択であるように思う。

 

ダリフラ」の相性で親しまれている、今期絶賛放送中の深夜アニメ「ダーリン・イン・ザ・フランキス」が、7話まで放送された。

本作品は、今期では「ポプテピピック」「ゆるキャン△」等と並んで最も話題に登っているアニメかもしれない。

最近の私は放送終了後に感想を書くのが怠いので、半端にはなるが絶賛放送中である今のうちに書いておく。

 目次

 

あらすじとか見どころとか

舞台は近未来というか、そこそこ未来。人類は丸いコロニーのような移動型の都市の中で、マグマ燃料という如何わしいエネルギーを主な資源として生活している。

そのマグマ燃料に反応して、どこからともなく叫竜というモンスターが現れて人類を襲うようになった。それを迎撃するため(?)に作られた女性型のロボット、フランクス。

男女ペアで操作するフランクスを操り、叫竜をぶっ殺すために英才教育を施されたパラサイトと呼ばれる子供達が主人公だ。

本作品は「男女の絆」をテーマに主人公達の精神的な成長や葛藤・衝突などを描く人間ドラマっぽい作りになっている。

 

あらすじはこんなもんなんだけど、まあ端的に言うと、これまでに放送された様々なロボットアニメの色んな要素を詰め込みつつも王道からブレそうにない、まあまあ面白いアニメだよねーという感じ。

 

特に「新世紀エヴァンゲリオン」の影響が濃く感じるので、巷ではエヴァンゲリオンエヴァンゲリオンという声も少なくない。

他にも深夜アニメファンなら多くが「フランクスって『スタードライバー』に出てきたロボットじゃね?」と思うだろうし、男女の絆が何たら〜で「創聖のアクエリオン」や「エウレカセブン」等を連想し、もちろんTRIGGER 作品ということで「俺のドリルは天を突くドリルだあああああ!!!!!」的な展開を重ねて見ているはずだろう。

 

その上で、特徴らしい特徴があるとしたら、男女の絆から発展する性的な表現を、そこそこ堂々と展開している点ぐらいだろうか。

その辺がやっぱりロボットアニメと言うか人間ドラマっぽいところで、初回から全裸だのキスだの、セックスを直接的に連想させる表現が続く。

それでいてエロいアニメというカテゴリーには入らないのが、見どころといえば見どころなのかもしれない。

 

セックスできるなら相手は誰でもいい主人公

本作品の前半で描かれる主人公のヒロ(Code: 016)は、言ってしまえば「セックスできるなら誰でもいいから、とにかくセックスしたい」と思っている、思春期に入ったばかりの中学生のようなもんである。

 

「フランクスに乗って叫竜をぶっ殺すことが全て」と教え込まれてきたヒロは、フランクスに乗ることしか考えておらず、パートナーがどうのこうのということを殆ど気にしていないように思える。

なので、それまでパートナーであったナオミ(Code: 703)が初回で叫竜にぶっ殺されても2話目以降で気にする素振りも見せないし、ゼロツー(Code: 002)という魅力的なパートナー候補が登場すると「まだフランクスに乗れる可能性がある」ということしか考えていない。

 

一方で、他のパラサイトはと言うと、大きく二種類に分けられる。

一種類はミク(Code: 390)とゾロメ(Code: 666)・ココロ(Code: 556)とフトシ(Code: 214)のように、何だかんだパートナー同士が互いを想い合っていて相性の良いタイプ。

もう一種類は、イチゴ(Code: 015)とゴロー(Code: 056)・イクノ(Code: 196)とミツル(Code: 326)のように、そこまで互いを想い合っていなさそうだけど頭が良いので「想い合うフリができる」タイプだ。

恐らく前者は天然で、後者は後天的な努力によって、パートナー同士の絆によりフランクスを動かすことができている。

前者は恋人同士、後者はセックスフレンドと言い換えてもよい。 

 

しかし主人公は全くそれを理解していない。頭では理解しているのかもしれないが、その理解は脳内の片隅に追いやられている。そして、ただヤラせろと言うばかりである。

そんな奴をフランクスに乗せるわけにはいかん、と行く手を阻む大人達。

そこに「ヤラせてあげるよ!」と言わんばかりにゼロツーが登場。「ヤル!」となった主人公がフランクスに乗り込み叫竜を蹴散らす。

 

ちょっと例えに問題がありそうだけど、この物語の前半は大半が、このパターンなのであった。

 

セックスする相手は誰でもよかったヒロイン

さて、本作品のメインヒロインであるゼロツーは、というと。

彼女も、相手は誰でもよかったのだ。そこが主人公のヒロとゼロツーの共通点であり、ゼロツーが「似ている」と感じた部分に繋がるんだと思う。

 

そもそもゼロツーは一人でもフランクスを操ることができる特別な体質の持ち主である。そして彼女は、恐らく他のパラサイトとは違う目的があってフランクスに乗っている。パートナーは常に代替品。誰でもいいし死んだら他の奴を使えばいい。

 

しかしそれは、きっとヒロに出会うまでの話だった。

ヒロを先に見つけたのはゼロツーで、飛行機の上からヒロを目視するや着陸後すぐにヒロのもとに向かっている。(と、思われる。)

そこでヒロと話して匂いを嗅いで以降、ゼロツーはヒロへの好意を隠そうとしない。もっともそれは、通常の人間関係における好意では無いようだが。

 

ともあれ、この時点でゼロツーは、相手は誰でもよいという状態から、相手はヒロがよいという状態に変化している。

 

二人の成長と最終話に向けて

ヒロインであるゼロツーの変化に刺激されて、主人公のヒロも変わっていく。

そもそもヒロは1話目でゼロツーに一目惚れしている、はずなんだけど、まあそれよりもフランクスに乗ることばかり考えているので、暫くの間は全く自覚がない。

 

そんな主人公にイライラしながらもグッと我慢して6話まで見守ると、そこで最後に彼は我々が耳を疑う言葉を口にするのだ。

 

「俺は君のパートナーだ。君を一人にはしない。」

「ゼロツー。俺がフランクスに乗る理由、もう一つ見つかった。君の翼でありたい。」

ダーリン・イン・ザ・フランキス6話「ダーリン・イン・ザ・フランクス」より

 

それだよお前。お前に足りなかったのはそれなんだ。だからお前は今まで落第し続けてきたんだぞ。

…という具合に、「ダーリン・イン・ザ・フランキス」はセックスできるなら誰でもいい主人公の精神的な成長を見守る物語なのであった。

 

ここまでが前半で、小休止的な7話を挟んだ後の今週末から、物語は次のフェーズに入っていくんだと思う。

今度はゼロツーが成長する番なんじゃないか。

ゼロツーは今のところ、本当に主人公を想っているわけでは無いと思う。彼女には彼女の目的があって、その目的の方が主人公よりも優先度が高いはずだ。

 

フランクスは男女の絆で動くロボット、このアニメのテーマは男女の絆だ。

親子の絆で動くロボットであるエヴァンゲリオンが最後にシンジとアスカを守ったのだとしたら、「ダーリン・イン・ザ・フランキス」が最終話を迎えるためには、ゼロツーにも成長が必要なのだと思う。

 

だってTRIGGER だし

最初の方に書いた通り、「ダーリン・イン・ザ・フランキス」はまあまあ面白いし、逆に言うと飛び抜けて面白い作品であるような気もしないというのが正直なところだ。

例えばキルラキルも大枠のストーリーは王道だったけど、細かい設定に強烈なオリジナリティがあった。そこまでの個性は、本作品には無い。

後半でマミるような展開になるとは思えないし、そもそもマミったところで面白いかどうかというのは微妙な問題である。

 

それでもやっぱり期待して見続けてしまうのは、これがTRIGGER 作品だからというのもある。(A-1 Pictures と共同制作。)

そしてTRIGGER だからこそ、きっと王道のまま終わると思うし、だからこそTRIGGER なのだろう。

TRIGGER ファンとして、楽しみに最後まで見させて頂きます。

 

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