今期のアニメ「月がきれい」を絶対に見たほうが良いけど「断固たる覚悟」が必要なので注意して欲しい
今期のアニメ「月がきれい」を絶対に見たほうが良い。
異能力も重火器も魔法も未来もSF もオカルトも特に要素に入っていない、ごく真っ当な(?)中高生の恋愛を描いた深夜アニメの名作は数あれど、「月がきれい」は未だ4話にして既にそれらを凌駕する衝撃を私に与え続けている。
まずは、その様子をご覧ください。
やめろ!!!!もうやめてくれ!!!!!!!!(月がきれい、を見ながら)
— nico (@nico0927) 2017年4月23日
駄目だ 私はこのアニメを最終話まで見終わる前に壁に頭を打ち付け過ぎて死ぬ
— nico (@nico0927) 2017年4月23日
流すな!!!!「初恋」流すなクソが!!!!!!
— nico (@nico0927) 2017年4月23日
いああああああああああ 会っちゃうのかよ!!そこで会っちゃうのかよ!!!!
— nico (@nico0927) 2017年4月23日
うわあああああああああああーーー!!!!
— nico (@nico0927) 2017年4月29日
もうどうしていいか分かんねえよ どういう顔して見りゃいいんだ、これ
— nico (@nico0927) 2017年4月29日
まあ、このアニメを見た人は大体こんな感じになる。
同じような人を最近Twitter とかでよく見かける。
だって、こいつ!この主人公!!
私が中学2年生~高校2年生ぐらいまでの間に、やらかしてしまったけれど誰にも言えないような恥ずかしいことを、全部、同じようにやらかしやがる!!
うるせーな、全部やったよ!
気になる子に話しかけたいけど話しかけられなかったりメールのやり取りに一喜一憂して悶たり電気からぶら下がっている紐でボクシングしたり小説のようなものを書いたり修学旅行で携帯を取り上げられて彼女と連絡が取れなくて困ったりその他もろもろ、全部やったわ!その通りにやったわ!!
お前見てたの?録画してたの?!
私の青春時代を全て記録した上で、それに「月がきれい」っていうタイトルつけて全国ネットで放送してるだろ??!!
私がもう、とっくに忘れていて、忘れたくて仕方がなかった黒歴史を、やっと捨てることができたそれを、わざわざ目の前に引っ張り出してきて突きつけて「お前、こんな感じだったよな?」って、ドS だな?!
でも見てしまうんだよね!ドM だから!!っていうか見たい!早く来週になれ!!
若干あだち充っぽいキャラクター造形とか川越を舞台にした作画とか好みが多くて素晴らしいから見ちゃうんだよ!ヒロインの水野茜が普通に可愛い娘だから見てしまうんだよ!!
また、このアニメの良いところ(ドS なところ)は、主人公による無駄な語りが殆ど入らず、いわゆる「心の声」が最低限でシンプルに抑えられているところだ。
「ー あの時の僕は、まさかこんなことになるなんて思ってもいなかった ー」みたいな、唐突に主人公が語り手として機能し始めてウザい、シラける、みたいなこともない。
どちらかというと、淡々と客観的な描写が続く。
そこで「心の声」が抑えられている代わりに、視聴者は各々の「心の声」を主人公に重ねながら、このアニメを見ることになるんだと思う。
なので尚更、視聴者は主人公を過去の自分と重ねやすい。
その結果が前述の「うわああああああああああ!!!!!」に繋がるのだけど。
このアニメを見始めて3話目が終わったあたりで私は気づいた。
「覚悟が足りなかった」と。
覚悟が足りない私が「月がきれい」を見る時の視聴スタイルは、大体こんな感じだ。
何かに隠れるようにして画面を覗き込まなければ、「月がきれい」を見ることはできない。
画面を正視できないというか、非常に完成度の高い過去の自分と向き合う勇気を今さら求められても困る。やめてくれ。それはもう捨てたんだ。やめろ。
過去の自分と言うけれど正確には、例えば私が中学生だった時は、もっとグレてた。すっごい短い学ラン着てたりしてた。高校生の時はガチの体育会系バスケ部で、スラムダンクそのままの高校生活を送っていた。
そんな私でも主人公に自分を重ねてしまうのだから、この主人公というかアニメの完成度は半端なく高い。
「秒速5センチメートル」は適当に見たからよく分からず「耳をすませば」は大好きだけど、そんなものではない、「四月は君の嘘」も「とらドラ!」も「CLANNAD」も凌駕して余りある完成度を誇っている。
…と、今は興奮しているから過大評価も含めて書いた。
とにかく「断固たる覚悟」が必要なんだ。
全国大会で山王工業に勝つぐらい、断固たる覚悟を持ってこのアニメを見なければならない。
でなければ、数分毎に画面から目を背けながら恐る恐る見ることになり、その結果として素晴らしい作画の数々を見逃すことになる。
それだけは深夜アニメのファンとして避けたい。
「けものフレンズ」は良かった。
動物なのか人間なのかよく分からないフレンズが次から次へと登場してドッタンバッタン大騒ぎをするアニメを見続けるのに、何の覚悟も必要なかった。
脳味噌をカラにしてただ画面の前でダラけているだけて幸せになれた。
しかし、そうは問屋が卸さないのである。
「月がきれい」は我々に「断固たる覚悟」を要求し続け、確かにあった現実から目を背けることを許さない。
これはそういうアニメだ。素晴らしいじゃないか。
そろそろ腹をくくって、きっちりと最終話まで見届けさせて頂きます。
追記:2017.07.11
「月がきれい」を最終話まで見た感想を書きました。