アニメ感想:幼女戦記(2017年・冬)


TVアニメ『幼女戦記』番宣

 

推薦度:A

 

  

" 諸君。やれ停戦だ出撃だと、まったく上も勝手なものだな。

だが、仕事である以上はやむおえん。命令に従い、敵を叩き潰さねばなるまい。

とは言え、今や世界の全てが我々の敵だ。過酷な戦闘は避けられようもなく、泥沼の戦いに終わりは見えない。

だからこそ、諸君らには改めて伝えておきたい。

この世を司る神がいるとすれば、どこまでも厳格で限りなく善良、あまりにも偉大な存在であろう。

神とやらは、非情な運命ばかりを突きつけてくる。それが、世界に課せられたルールのようだ。

そこでだ。私は今ここに、改めて宣言する。

ああ、神よ…貴様を切り刻んで、豚の餌にでもしてやると。

糞ったれの神に、我らが戦場は不似合いだ。今こそ神の仕事を肩代わりしてやろうではないか。

我ら将兵のあるうちは、我々が神に取って代わるのだ。傲慢な神とやらを、失業させてやれ。

では戦友諸君、戦争の時間だ。 "

(アニメ「幼女戦記」12話より)

 

戦争は無くならないし、結局この世に神などいない。

仮に神がいるとしても、それは皆が望むようなものではなく、どちらかといえば悪魔のような存在でしかない。

…という感じの話でした。

 

というわけで、「幼女戦記」の最終話を見終わった。

けものフレンズ」が猛威を振るった今期だったけど、個人的には「昭和元禄落語心中」と、この「幼女戦記」の方が毎週楽しみにしていた。

 

このアニメには、詰め込まれている要素・属性が多いと思う。

軍モノであり、幼女モノであり、魔法が飛び交い、空戦が繰り広げられる、転生系のSF だ。

多くのアニメが二~三程度の要素の組み合わせで勝負をしているところ、「幼女戦記」は四~五個以上の要素が組み合わさっている、そんな印象を受ける。

 

しかし、それだけ多様な要素・属性を扱っていても、このアニメは非常にバランスが良く、作画・ストーリーの質が保たれていて、見やすい。

結局のところ幼女であったり魔法であったりというのはあくまでオプションとして上乗せされたものであり、根底を流れる「戦争と神」というテーマが事ある毎にしっかりと描かれていて、作者が伝えたい事がブレないからだろう。

 

 ターニャ・デグレチャフという本作品の主人公である幼女は、分かりやすく言うと「ヘルシング」の少佐であり、「ブラックラグーン」のバラライカさんであり、「ヨルムンガンド」のココ・ヘクマティアルであるように見える。

しかし、少佐ほどあらゆる戦闘行為を愛しているわけでもなさそうだし、バラライカさんほど闇に堕ちているわけでもなければ、ココほど戦争自体を憎んでいるわけでもなさそうだ。

しかも、この幼女は転生した結果として戦争が絶えない時代で将校をしている。前世の記憶もある。

要するに、ちょっと新しいキャラクターなのだ。

 

彼女が最終話でレルゲンに語った「合理性ばかり追い求めても駄目っす」というメッセージは、彼女の前世の、つまり現代社会の企業と、その企業で働いていた自分自身に対して向けられている。

 その経験があってこそ、「反抗の芽は根絶やしにすべきだ」と主張するところが、今まで私が見てきた戦闘狂とは少し違っていて、面白かった。

 

主人公であるターニャ・デグレチャフはそんな感じなのだけど、少なくともアニメ版では、この幼女以外のキャラクターは普通というか、無難な感じに設定されていて、要するにキャラが薄い。

強いて言えば健気に主人公を支え続ける副官のヴィーシャ、たまにスポットライトが当たるのは彼女ぐらいだった。

主人公のキャラが濃すぎて、それ以外の脇役は薄めの方がバランスが良いというのであれば、確かにそんな気もする。

ただ個人的には全話通して、少し寂しい気もした。

 

とはいえ前述の通り、様々な要素・属性が含まれていて、深夜アニメらしい作品だった。

深夜アニメを見続けている人に対しては、けっこうお薦めなんだけど、幼女に萌えを期待しても逆にトラウマとなるだけである…というわけでもないよ。